
いま集患に悩むなら――訪問歯科が「選ばれる医院」になる7つの秘訣
目次
1. 患者減少時代の処方箋としての訪問歯科
高齢化と通院困難層の増加をどう捉えるか
歯科医院の「集患」における悩みは、もはや一部の医院の問題ではなくなりつつあります。新規開業が増える一方で、外来患者数は全体として伸び悩み、特に高齢化が進む地域では「来院できない」層が目立ってきています。
この背景には、日本の人口構造そのものの変化があります。いまや3人に1人が65歳以上という時代です。待合室での呼びかけに時間がかかることが日常となり、「最近あの方見ないな」という事態がそのまま通院断絶へとつながっていく、こうした現象は多くの医院で見られるようになっています。
こうした時代において、歯科医院が地域から「選ばれる」存在となるためには、外来に来る患者を待つのではなく、通院できなくなった患者に出向く体制を持つことが一つの鍵になります。
訪問診療とは、単に医院の機能を移動させるだけの話ではありません。生活の場に赴き、医療ではなく“暮らし”を支えるという、まったく異なる文脈での専門性が求められます。その中で歯科の役割は、食べる機能を支え、誤嚥を防ぎ、さらには口腔内の衛生を保つことで生活全体の質を守ることです。
集患の手段として訪問歯科を語ることに、違和感を覚える方もいらっしゃるかもしれません。しかし現実として、来院困難な患者へのアプローチを持たない医院は、数年後に確実に訪れる「通えない高齢者の時代」に対応できなくなります。訪問歯科は、社会的責任を果たしながら、医院の将来を支えるもう一つの柱となりうるのです。
秘訣その1:外来依存から脱却し、地域の通院困難層に応える体制を持つことが、「選ばれる医院」への第一歩になる。
2. “外来の延長”で終わらせない体制づくり
継続的に診る仕組みが信頼を生む
訪問診療を導入して間もない医院でよく見られるのが、「とりあえず依頼があれば行く」というスタイルです。急な依頼に応じて出向き、応急的な処置で診療を終える。こうした“外来の延長”としての訪問は、一見すると合理的で無駄がないようにも思えます。
しかし、この方法では「信頼の積み上げ」が起こりません。患者本人やご家族、さらにはケアマネジャーや介護職から見れば、突発的にやってきて、短期間で姿を消してしまう歯科医師は、相談相手として定着しづらい存在です。
今、地域で選ばれている医院には共通点があります。それは、継続的・計画的に患者を診る“ストック型”の体制を持っていることです。これは単に訪問の頻度が多いということではなく、「歯科としてどこまで支援できるか」を中長期の視点で見据えたプランが立てられているということを意味します。
たとえば、治療終了後の定期的な口腔ケアや、摂食機能の維持を目的とした関わりを、施設やケアマネと連携しながら継続していく。こうした“続ける仕組み”を整えている医院は、紹介もリピートも安定的に増えていきます。
訪問診療においては、「診療内容よりも、継続の姿勢が評価される」と言っても過言ではありません。外来と違って、患者の生活の中に入るからこそ、一定の予測性と責任ある関わりが求められるのです。
一度診て終わりではなく、「これからも診てくれる」医院だと思ってもらえるか。その設計が、訪問診療の成否を分ける最大のポイントになります。
秘訣その2:単発対応ではなく、継続的・計画的に診る体制を整えることで、“紹介される訪問歯科”になる。
3. 選ばれる医院に共通する“現場との距離感”
ケアマネ・介護職が信頼する歯科医院の条件
訪問歯科診療は、地域の医療や介護のネットワークの中に入っていく診療スタイルです。外来と異なり、患者との関係は「1対1」にとどまりません。介護職員、ケアマネジャー、看護師、家族……複数の支援者が関わる現場の中で、歯科の立ち位置をどう築くかが問われます。
このとき、診療技術だけで信頼を得ることは難しいのが実際です。むしろ、日々のちょっとした振る舞いや、対話の姿勢が信頼に直結することのほうが多いのです。
たとえば、ケアマネに報告書を出すときに、専門用語を並べた“歯科の視点”ばかりを記載してはいないでしょうか。介護職に口腔ケアの指導をするときに、一方的に話してしまってはいないでしょうか。
現場で信頼される歯科医院には、「相手の立場で考える」視点が共通しています。
たとえば――
- 介護職が普段困っていることに気づき、助けになる情報を伝える
- ケアマネがケアプランに反映しやすいように、観察項目や変化を具体的に書く
- 指導やアドバイスをするときは、「お願い」の形にして無理なく導入してもらう
こうした積み重ねが、関係者のあいだに「またこの先生にお願いしたい」という気持ちを生むのです。
訪問歯科診療が継続して求められるかどうかは、診療そのものだけでなく、周囲の支援者との距離感によって決まります。「治療する人」から「支えるチームの一員」へ。この変化を受け入れた医院だけが、地域に必要とされる存在になっていきます。
秘訣その3:治療だけでなく、支援者との信頼関係を築く姿勢が“選ばれる医院”の土台になる。
4. 「頼まれる医院」はこうつくられる
ケアマネに紹介される導線と文書の工夫
訪問診療の現場において、最も多くの「新患紹介」を生み出している存在。それは、ケアマネジャーです。にもかかわらず、多くの歯科医院では、このケアマネとの接点づくりや情報提供の方法が十分に整理されていません。
「診療が終わったから文書を出す」「依頼されたから訪問する」という受け身の姿勢では、紹介は一向に増えません。ケアマネ側にしてみれば、数多くの支援事業者の中から誰を選ぶかを日々判断しています。そこに「歯科」という専門領域の情報が適切に届かなければ、そもそも選択肢として浮かび上がってこないのです。
だからこそ、必要なのは“頼まれるための設計”です。たとえば、次のような導線や工夫が有効です。
- 初回訪問時に渡す「お礼と診療のご報告」レター。歯科視点の報告に加えて「ご本人が安心された様子」など、生活情報も添える。
- 定期的な報告書では、変化があった点に着目し、ケアマネがサービス担当者会議で活用しやすいよう具体的に記載する。
- 新たなニーズが見つかったときには、歯科から先に連絡を入れ、判断をケアマネに委ねる形で提案する。
また、訪問診療においては、いかに“早く結果を見せられるか”も重要です。たとえば、「義歯の調整後にすぐに摂取量が改善した」「口腔清掃後に介護職が食渣の減少を実感した」など、目に見える変化を報告文書で共有できれば、次の依頼につながる確率は一気に高まります。
訪問先での関わりを「診療の記録」だけで完結させず、地域の支援者に伝わる“情報資産”として活用していく。これこそが、選ばれる医院の共通した実践です。
秘訣その4:ケアマネに届く文書と働きかけを工夫し、“紹介される仕組み”を持つことで「頼まれる医院」になれる。
5. 歯科衛生士が活躍する仕組みが医院を支える
属人化を防ぎ、継続性を生むチームづくり
訪問歯科診療において、最も多くの現場を支えているのは誰か――そう問われれば、多くの医院が「歯科衛生士」と答えるでしょう。実際、口腔ケアや口腔衛生管理、嚥下訓練など、衛生士の専門性が活かされる場面は年々増え続けています。
ただし、ここで注意しなければならないのは、「衛生士に任せているつもりが、実際には属人的に丸投げになってしまっている」というケースです。たとえば、ある特定の衛生士がすべての判断を一人で抱えてしまい、急な退職や休職で訪問診療の流れが一気に止まってしまう――そんな状況を防ぐには、「人に頼る」のではなく「仕組みに落とし込む」ことが不可欠です。
たとえば以下のような工夫が、チーム全体の継続力を高めていきます。
- 施設ごとに「診療マニュアル」や「持参物チェックリスト」を整備し、新人衛生士でも迷わず動ける状態をつくる。
- 院内で定期的に症例共有を行い、判断の基準や指導内容をチームで共有する。
- 衛生士が主体的に施設側と連携をとるための「報告書テンプレート」や「情報提供の流れ」を明文化する。
これにより、歯科衛生士が“個人の力量”ではなく“医院の力”として現場に立つことができるようになります。
また、衛生士がやりがいを持って働ける環境であることも、長期的な定着に直結します。「ありがとう」の声を聞ける場面をつくること。「この判断でよかった」とフィードバックが返ってくる体制を整えること。そうした設計が、スタッフの離職を防ぎ、地域に根づいた医院を育てていきます。
秘訣その5:歯科衛生士の活躍を“仕組み化”し、属人化を防ぐことで、チーム全体で選ばれる医院を支えられるようになる。
6. 現場対応力が“また呼ばれる”歯科医を育てる
診療技術だけでは測れない信頼の基準
訪問診療では、予測不能な状況に向き合う場面が少なくありません。患者の体調変化、家族の不安、介護職からの突然の相談。あるいは、予定していた処置が現場の事情で変更せざるを得なくなることもあります。
このようなとき、評価されるのは歯科医師としての「治療技術」だけではありません。それ以上に問われるのは、「現場の状況に応じて適切に判断し、柔軟に対応できるかどうか」という“現場対応力”です。
たとえば、次のような場面が挙げられます。
- 口腔乾燥が強く、通常の清掃が難しいときに代替手段を提示できる
- 摂食嚥下の状態が不安定な患者に、食形態の提案を施設と連携して行う
- 医科主治医からの指示が曖昧なまま処置を求められた際、確認のプロセスを踏むことで安全性を担保する
このような「診る力」の背景には、多職種との連携経験、制度への理解、そして生活者視点での柔らかさがあります。つまり、訪問診療における“信頼される歯科医”とは、治すことより「支える」ことに慣れた医師であり、その力は一朝一夕で身につくものではありません。
一方で、こうした対応力は、経験によって確実に育ちます。特にチームでの症例検討や院内の情報共有を重ねていくことで、「こういうときはどう考えるべきか」という判断軸が自然と形成されていきます。
信頼を得るには時間がかかります。しかし、一度「この先生なら安心」と思ってもらえれば、その信頼は他の施設や支援者にも波及していきます。
秘訣その6:その場に応じた柔軟な判断力と支援的な姿勢が、“また来てほしい”と選ばれる歯科医師をつくる。
7. 訪問診療が医院にもたらす“3つの副次的メリット”
地域の信頼が循環する経営基盤へ
訪問診療の価値は、患者の口腔を診るという本来の役割を果たすことだけではありません。継続して関わることで、医院そのものに“副次的なメリット”が蓄積されていくという事実も、ぜひ知っておくべき点です。
第一のメリットは、医院の「信用力」が高まるということです。訪問診療を通じて地域のケアマネジャー、介護職員、看護師、医師と関係を築いていく中で、医院の存在は「歯を治す場所」から「生活を支える支援拠点」へと認識が変わっていきます。これは、目に見えない資産であり、外来にも良い影響を与える“地域からの信頼”へとつながります。
第二に、外来患者が自然に増える傾向があることです。訪問診療を通じて知った家族が「母の治療をお願いしてとても良かったので、自分も診てほしい」と来院する。あるいは、介護職や看護師が、勤務先とは別に自分の家族を紹介する。こうしたケースは、訪問診療を長く続けている医院では珍しくありません。
第三のメリットは、歯科医師自身の技量が磨かれることです。ここでいう技量とは、単なる治療テクニックに限りません。全身状態の把握、他職種との連携、コミュニケーション能力、制度への理解など、診療の枠を超えた総合力が問われるのが訪問の現場です。そのなかで養われた知見は、外来の診療にも還元され、医院全体の質を底上げしてくれます。
このように、訪問診療は医院にとって“もう一つの収益源”であると同時に、“信頼される医療機関”としての格を育ててくれる存在でもあるのです。
秘訣その7:訪問診療は、信用・外来の活性・技量向上の三つを同時に育てる、医院成長の好循環を生む柱となる。
8. まとめ
生活の中で信頼される存在を目指して
訪問歯科診療は、「患者が通えなくなったときの代替手段」ではありません。それは、地域で求められる医療機関としての役割を、これからの時代にふさわしい形で果たしていくための実践です。
本稿では、集患に悩む歯科医院が“選ばれる存在”となるための7つの秘訣を紹介してきました。その中で一貫してお伝えしたかったのは、「診療の枠を超えた関わり」が、地域からの信頼と評価につながっていくということです。
患者に寄り添い、支援者と協働し、スタッフが継続的に活躍できる仕組みを整える。そして、地域の暮らしに貢献する姿勢を積み重ねていくことで、自然と“頼られる医院”になっていきます。
訪問診療を強化することは、決して医院の負担を増やすだけではありません。それは、外来診療を支え、経営の安定をもたらし、そして何よりも、院長自身が「地域に必要とされている」と実感できる誇りを育む道でもあるのです。
変化の時代に、次に選ばれるのは――
「診療所の中」だけでなく、「生活の中」で信頼を築ける医院です。
その第一歩として、ぜひ訪問歯科の体制を見直してみてください。
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